動く遊具を嫌がる?乗り物酔いしやすい?前庭覚のつまずきとおうち遊び3選

子どもの発達

うちの子、「動く遊具を極端に嫌がる」「乗り物酔いをしやすい」「姿勢をまっすぐに保っていられない」etc…

このような悩みを持つパパ・ママはいませんか?これらは「発達のピラミッド」の土台である「前庭覚」の発達が未熟であることが関係しているかもしれません。

この記事では、子どもの発達を考えるうえで大切な「感覚」のひとつ、前庭覚(ぜんていかく)についてお話します。
また、「敏感・鈍感だとどうなる?」「日常でできる遊び」についても解説します。

発達のピラミッドについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。


前庭覚ってそもそも何?

姿勢のコントロール

前庭覚の1つ目の機能は 「バランス感覚」や「体の傾き・動きを感じる力」 具体例を挙げるとこんな感じです👇️

  • ブランコに乗って「揺れてる!」と感じる
  • 目をつぶっても「立っている」ことがわかる
  • 走って急に止まっても体を支えられる

このように、前庭覚によって「身体が傾いている」ことがわかって、そこから固有覚と連動して筋肉の張り具合を高めたりして姿勢を安定させています。

視線の安定

また、前庭覚は眼球の動きにも作用しています。

例えば…。顔の前に人さし指を立てて目で見てください。

  • 人さし指を左右に振る➜指はブレて見えますよね。
  • 同様のスピードで顔を左右に振る➜指はあまりブレずに見えます。

このように、前庭覚は頭の傾きを感じ視線を安定させるなど、カメラの手ブレ防止機能のような役割も果たしています。

集中力や学習意欲にも影響してくる

このように身体や視線を安定させる前庭覚。
学校で椅子に姿勢よく座ったり、黒板の文字を書き写す為に頭を上下に動かしたりできるのは前庭覚がきちんと働いているおかげです。
前庭覚につまずきがあると、姿勢や視線が安定しないため、学習に集中できなくなることもあると言われています。


前庭覚のつまずきには「鈍感」「敏感」の2パターンがある

前庭覚につまずきがあると一言でいっても、それには大きく分けて2パターンがあります。それは前庭覚が鈍感な場合と過敏な場合です。下記に具体例を挙げてみます。

前庭覚が鈍感だとどうなる?

前庭覚がうまく働きにくい=「鈍感」だと、こんな特徴が見られることがあります。

  • 授業中に椅子にじっと座ってられずソワソワして落ち着かない
  • 板写が苦手でノートがとれない
  • ブランコや回転遊具が大好きで、いつまでも降りない
  • 高いところや速い動きに平気すぎる(怖さを感じにくい)

一見、「少し落ち着きがなく常に動いている活発な子」に見える場合もありますが、実は 体の感覚をつかみにくくて“もっと刺激を求めている” サインかもしれません。

前庭覚が過敏だとどうなる?

逆に、前庭覚がとても過敏な場合もあります。

  • 警戒心が強く集中を保てない
  • 車やバスに乗ると酔いやすい
  • ブランコやすべり台を怖がる
  • 体が少し揺れるだけで不安になる

こうした子は、体の揺れや傾きに対して“強く反応しすぎてしまう”ことがあります。
前庭覚が鈍感な場合とは逆で、周りからは「少し臆病で慎重な子」に見えることが多いのではないでしょうか。


日常で簡単にできる前庭覚遊び3選

上記に挙げた「鈍感」「過敏」の症状がある子は、遊びを通して前庭覚の感じ方を経験させてあげる事が大切です。ここでは家庭でも気軽に出来る触覚遊びを3つご紹介します。

ブランコでユラユラ

ブランコは前庭覚を刺激する代表的な遊びです。

基本の遊び方

前庭覚が過敏でブランコを怖がる子は、座って足を地面から離すことから始めていきましょう。
逆に鈍感な子は刺激をたくさん欲しがります。大人は子どもの背中を押して強く揺らしましょう。

アレンジ1 〜形当てゲーム〜

丸、三角、四角などの図形をかいた紙を用意しておき、揺れている最中にそれをチラッと見せます。子どもはそれを当てます。
移動しながら紙を注視するため、視覚も同時に育てることが出来ます。

アレンジ2 〜ハンカチキャッチ〜

ブランコが揺れている間に差し出されたハンカチをキャッチします。

アレンジ3 〜立ってこぐ〜

ブランコの座面にたちます。子どもに恐怖心がなければ膝をつかって前後にこいでもらいます。
自分で揺らせない場合は大人がゆっくりと押してあげましょう。


くるくる回転いす

回転するいすに座ってクルクルまわると、水平方向への回転刺激が前庭覚に入ります。回転する際に振りまわされないように姿勢を保つことで、姿勢改善なども期待できます。

基本の遊び方

背もたれのあるいすに、逆さ向きにまたいで座り、落ちないように背もたれにつかまります。
大人がそばに立って、手で椅子をグルグルまわします。
時折、回転方向を変えながら行ってみましょう。

アレンジ1 〜数字や絵を読む〜

いすを回しながら「数字カードを見せて声に出して読ませる」「好きなキャラクターの絵を見せて名前を言ってもらう」などアレンジしてみましょう。
「前庭覚」を使うと同時に「視覚」も使うことになるので、いい感覚遊びになります。

アレンジ2 〜手にタッチ〜

いすをまわしながら、タイミングを合わせて、大人が差しだした手にタッチします。
できるようになったら、タッチのたびに手の位置を変えていきます。

アレンジ3 〜バケツにシュート〜

床にバケツを置きます。いすが回転している状態で、子どもが大人からボールを受け取ったり、ボールをバケツに投げ入れたりします。


丸太になろうゲーム

体幹を意識する遊びです。身体を転がしてもらう、身体を運んでもらうなど、他者との関わりの要素を取り入れることで、1つの姿勢を保持することが苦手な子も「やってみたい」という意欲を高めることが期待できます。

基本の遊び方

  • 布団など柔らかいものの上に横になり、子どもは丸太になったつもりで、身体全体をまっすぐにのばし、グッと力を入れます。
  • 大人にゴロゴロと転がしてもらいます。身体がグニャとならないよう、子どもは身体に力を入れ続けます。

アレンジ1 〜丸太運び〜

「丸太」になった子どもを大人が抱きかかえて運びます。
「丸太」の子は力を入れ続けるようにしっかりと伝えます。

アレンジ2 〜丸太引っ張り〜

「丸太」になった子どもと手をつなぎ、引っ張ります。子どもの握る力なども鍛える事ができます。

アレンジ3 〜前後に倒れる〜

丸太の子が直立し、その前か後に大人が構えます。
大人が合図を出して丸太の子は直立姿勢のまま前か後方に倒れ、それを大人が支えます。
そして、再び前か後ろに押し出したりなどを繰り返します。
見えない背後に倒れるのは不安や恐怖が伴いますが、それを克服し信頼感も高める事ができる遊びです。


まとめ

前庭覚は、子どもが バランスを取る・姿勢を保つ・集中する ために欠かせない大切な感覚です。

  • 鈍感だと「もっと動きたい!」と落ち着きがなくなる
  • 過敏だと「ちょっとの揺れ」も怖くて不安になる

そんなときは、無理をさせずに少しずつ遊びの中で経験を広げていくことが大切です。


その他の感覚の解説はこちら


参考文献

『発達の気になる子の学校・家庭で楽しくできる感覚統合あそび』川上康則(株式会社ナツメ社)

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