子どもの字が汚い原因と直し方|見直したい4つのこと

子どもの発達

「なんでそーなるのっ!?」

長男が小学校に入ってしばらく、宿題を見ていて何度もそう思いました。行の頭でいきなり大きな字を書いて、後半で入らなくなる。マスからはみ出す。文字の大きさがバラバラで読めない。何度言っても直らなくて、正直イライラしていた時期があります。

字が汚いと、つい「ちゃんと書きなさい」と言いたくなります。でも、気持ちの問題ではないことのほうが多いんです。

作業療法士として学んできた知識と、わが子2人を育てている経験から見ると、字を書くには4つの土台が関わっています。

  1. 環境
    👉座り方や机まわり。いちばんすぐ変えられる
  2. 体幹の安定
    👉姿勢を保つ力
  3. 目の空間認知
    👉文字の大きさや位置を捉える力
  4. 手の操作性
    👉鉛筆を思いどおりに動かす力

よく言われるのは②の体幹です。
ただ、わが家で実際に体を不安定にして書かせる実験をしてみたら、思っていたのと違う結果になりました。そのあたりも含めて、順番に紹介します。

①環境を整える|いちばん先に手をつけられるところ

宿題で鉛筆を持つ子どもの手

子ども本人を変えようとする前に、まわりの条件を変えます。ここがいちばん早く、確実に効きます。

足の裏が床につく高さにする

わが家がやってしまっていたのがこれです。宿題をダイニングのベンチでやらせていました。足が床につかない。ぶらぶらした足のまま書いていたわけです。

足の裏が床にしっかりつくと、体が安定して手を動かしやすくなります。高さが合わないなら、足元に台や箱を置くだけでも変わります。

「今日は丁寧に」の日を決める

これがいちばん現実的かもしれません。全部の字をきれいに書かせようとしないことです。

毎日は無理でも、「今日は丁寧に書いてほしい」そんな大一番の日が、小学校に入るとあるはずです。

そんな日だけ「テレビを消す」「家族みんなが静かにしてあげる」など集中できる空間を作ってあげるようにしましょう。

丁寧に書くのって、大人が思っている以上に集中力をつかうんですよね。

②体幹の安定|あえて不安定な状態を作って検証してみた

「体幹が不安定だと、手先に余力が回らず字が乱れる」。書字の話でいちばんよく見かける説明です。理屈としては、私もそのとおりだと思っています。

ただ、どのくらい影響するのかが気になって、長男で試してみました。
内容は書く環境を少し変えて、できるだけ丁寧に文字を書いてもらうというもの。結果は以下のようになりました。

普通に椅子に座って書く

姿勢が崩れる座り方で書く

バランスボールの上に座って書く

検証結果からも分かるように、多少ぐらつく環境を作った程度では、字に大きな影響は出ませんでした。

しかし、バランスボールで極端に不安定な状態を作ると、ようやくはっきり字が乱れました。
写真の○で囲った部分から分かるように、

  • 【の】【が】の文字位置がやや上下に偏った
  • 【ひびく】の筆圧がやや薄くなり線のブレが見える

このような結果になりました。
偶然かもしれませんが文章の後半に特に目立つ乱れが出てきているので、姿勢を保持するのに疲れが出て、それが指先の操作にも影響を与えたのかもしれません。

もちろん、子ども1人で試しただけなので、これがすべての子に当てはまるとは言えません。それでも、この結果からひとつ言えることがあります。

体幹の安定は確かに大切。でも、よほど不安定でないかぎり、字が汚い直接の原因はもっと別のところにある可能性が高いということです。

だから、優先順位はこう考えてください。

  • 座っていられない・机に突っ伏す・椅子からずり落ちる
    👉体の土台から整える意味が大きい
  • 普通に座って宿題ができている
    👉体幹トレーニングをしても字はきれいになりにくい。③④を先に見る

「体幹が弱いから字が汚い」と決めつけて練習させても、そこが原因でなければ徒労に終わります。まず、うちの子はどっちなのかを見てください。

なお、体を支える力そのものを育てたい場合は、体幹を使った遊びが土台になります。
姿勢の崩れやすさが気になる方は、子どもの体幹が弱い原因と今日からできる3つの対策もあわせてどうぞ。
わが家の次男は、その土台づくりのためにへやすぽアシストというオンラインの運動教室を利用しています。

③目の空間認知|文字の大きさを決めているのは目

文字の大きさを捉える目の働き

ここが、見落とされやすいのに影響の大きいところです。

文字を書くとき、目はかなりの仕事をしています。「この行にあと何文字入るか」「1文字をどのくらいの大きさにするか」「線と線をどこで交わらせるか」。これらは全部、見て空間を捉える力です。

入学したての子が、行の頭で大きく書いて後半で入らなくなるのは、この配分がまだ育っていないから。ふざけているわけでも、いい加減なわけでもありません。(当時の私は、そう思えずにイライラしていました)

マス目のノートは「外づけの枠」

低学年で指定されるノートに、マス目が入っているものが多いですよね。
あれは大きさと位置の基準を、紙のほうが用意してくれている状態です。子どもが自分で決めなくて済みます。

書道で使う半紙に枠や手本があるのも、同じ理屈です。大きさを決める仕事を紙が肩代わりしてくれるから、本来の力が出しやすくなります。

わが家の長男も、マス目のノートを使っているうちに、入学直後のような崩れ方はしなくなっていきました。特別な練習は何もしていません。

家でできること

やるとすれば、目の仕事を減らしてあげる方向です。

  • マスが大きめのノートを選ぶ
    👉大きめのマスがいい。書けた経験のほうが先です。
  • 手本を横に置く
    👉書く場所のすぐ隣に置く。目の移動が減ります。
  • 枠のない紙を避ける
    👉無地の紙で「きれいに書く」のは、いちばん難しい条件です。
  • なぞり書きから始める
    👉大きさを決める仕事を丸ごと外せます。

ポイントは、枠を与えるのは甘やかしではないということ。条件を整えれば、本来持っている力が出ます。

見る力そのものを育てたい場合は、目を使った遊びも役に立ちます。
眼の機能や、育てる遊びをもっと詳しく知りたいという方はこちらの記事も参考にしてみてください。

視覚機能を育てる遊びとは?子どもの発達を伸ばすおうち遊び3選

④手の操作性|持ち方より先に見るところ

指先を使う手のひら

鉛筆を思うように動かせない場合は、手そのものを育てる働きかけが必要です。

持ち方を直す前に確認したいこと

持ち方を直そうとする前に、鉛筆を握り込んでいないかを見てください。指を細かく動かして書くのではなく、手全体で握りしめて腕ごと動かしている状態です。

この状態で持ち方だけ矯正しても、力の入れ方が変わらないので長続きしません。
指を1本ずつ別々に使う経験のほうが先です。筆圧が異常に強い、紙が破れる、すぐ手が疲れるという場合も、同じところにつながっています。

指先を育てる遊び

机に向かう練習より、遊びのほうが続きます。

  • 洗濯バサミ
    👉つまむ・力を加減する。親指と人差し指をしっかり使います
  • 粘土・砂遊び
    👉手のひら全体で押す、ちぎる、丸める。力の入れ方を体で覚えます
  • 小さいブロック
    👉指先を細かく分けて使う経験になります
  • シール貼り・折り紙
    👉狙った場所に合わせる、目と手を一緒に使う練習です

書く前の30秒

宿題の前に手をグーパーする、手首を回す。それだけでも、いきなり書き始めるより手が動きます。「宿題やりなさい」より先に「手をグーパーしてから」のほうが、声かけとしても角が立ちません。

どこまで綺麗さを求めるか|わが家の正直な結論

マス目のノートに書いた長男の字

ここまで4つ紹介してきました。順番に整理すると、こうです。

  • 環境
    👉足の裏を床につける、丁寧に書く日を絞る
  • 体幹の安定
    👉よほど不安定でなければ、ここが直接の原因ではないことが多い
  • 目の空間認知
    👉マス目や手本で「枠」を与える
  • 手の操作性
    👉持ち方より先に、指先を育てる遊びから

そのうえで、わが家の正直なところを書きます。

あれだけバラバラだった長男の字は、経験を重ねるうちに落ち着いていきました。今では習い事の習字で、毛筆でも硬筆でも賞をいただくまでになりました。

上の写真は長男が学校の宿題で書いたノートですが、お世辞にも字が綺麗とは言えません。どちらかというと汚い方かと・・。笑

でも、それでいいと思っています。だって、いつでも綺麗な字を書くのは疲れるからです。大人だってそうですよね。メモ書きと、人に渡す書類の字は違います。

だから、わが家の優先順位はこうなっています。

  1. 読める字が書けること
  2. 書くことを嫌いにならないこと
  3. きれいに書けること

毎日の宿題で「汚い」「書き直し」と言われ続けるのは、子どもにとってきついはずです。字がきれいになる前に、書くこと自体が嫌いになってしまうほうが困ります。

ただし、書くこと自体を強く嫌がる、学校生活で困っている、板書が写せないといった様子があるときは別です。家庭での工夫だけで抱え込まず、学校の先生や専門機関に相談してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

字のことで、つい強く言ってしまう日もあると思います。私もそうでした。でも、昔バラバラだった長男の字も、時間をかけて少しずつ落ち着いてきています。

この記事の中のどれか一つでも、お子さんに合うものがあればうれしいです。

そして何より、お子さんが「書くこと」を嫌いにならずにいてくれたら、それがいちばんだと思っています。

本記事は作業療法士としての知見と個人の経験に基づく情報提供であり、医学的診断や個別の医療アドバイスを目的としたものではありません。お子さまの発達についてご心配な場合は、専門機関にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました