「食べ物をよく噛まずに飲み込む」「手が汚れる事を極端に嫌がる」「帽子や靴下を履くのを嫌がる」「服のタグが気になって服が着れない」こんなお子さんの姿に困っているパパ・ママはいませんか?

実はこれ、幼い頃の我が子(次男)の様子なんです。
(今は大分よくなりましたが・・・。)
我が子と同じような姿がお子さんにも見られているのであれば、それは「発達のピラミッド」の土台である「触覚」につまずきがあるのかもしれません。
私自身、息子の子育ての中で
「あれ?なんか他の子と違うな」と気づいたのが触覚でした。
作業療法士としての知識があっても、実際に目の前の我が子となると悩むもの…。
同じようにモヤモヤしているパパママに向けて、今日は“触覚”をわかりやすくまとめます。

発達のピラミッドについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。


触覚につまずきがあると社会性の土台が築けない
幼い子どもにとって、自分を守ってくれる親とのふれあいは非常に重要です。
必要な時期に愛情のあるスキンシップを得ることで、愛着や共感の気持ちなどが生まれ、それが社会性へとつながっていきます。
しかし、触覚につまずきがあると愛着や共感の土台が気づきにくくなり、結果、社会性も身につきにくくなってしまします。

触覚には2つの機能がある
触覚は大きく分けて2段階の機能があると言われています。それが「識別系」と「原始系」です。
「識別系」の触覚とは
「識別系」は触ったものの形や素材などによってそれが何であるかを認知する機能です。一般的にイメージしやすい触覚の1つだと思います。

例えば「いろんな物が入っているポケットの中から手探りで必要な物を取り出す」なんて事が出来るのは人間に触覚が備わっているからなんです。
「原始系」の触覚とは
「原始系」は対象物が自分にとって有害かものかどうかを反射的に判断する機能です。少しイメージしづらい機能かもしれません。

例えば「服の特定の素材に拒否反応を示す」「苦手な食感の食べ物を吐き出す」などの行動が「原始系」の機能です。
上記に挙げた例は触覚防衛反応と呼ばれています。
これは成長していくにつれ、軽減されていくものですが、なかには適切な発達支援を行わなくてはなかなか軽減できないケースもあります。
触覚につまずきには「鈍感」「敏感」の2パターンがある
触覚につまずきがあると一言でいっても、それには大きく分けて2パターンがあります。それは触覚が鈍感な場合と敏感な場合です。下記に具体例を挙げてみます。
触覚が鈍感な場合
- 腕を強く噛むなどの自傷的な行動をする
- 転んでもあまり痛がらない、気づかない
- 爪や鉛筆をずっと噛む
- 身近にあるものを噛んだり、なめたりしてしまう
- 他人とのほどよい距離感がつかめず、すぐに抱きついたりする
触覚刺激が少なく感じてしまっているので、行動がやや極端になったり同じ行動を何度も繰り返したりしてしまう特徴があります。
触覚が敏感な場合
- 服のタグや靴下のゴムが気になるなど衣服の違和感が強く、こだわりが強い
- 少しでも手が汚れたりするとすぐに手を拭こうとする
- 友達にちょっと触れられるだけで「イヤ!」となる
- 髪をとかす・爪を切るのを嫌がる
少しの触覚刺激がその子にとってすでにキャパオーバーな状態….。
触覚刺激から自分を「まもろう」「逃避しよう」といった行動がみられる事が多いです。
敏感さはその子にとって大きな負担になりやすいので、周りの理解と工夫が大切です。

日常で簡単にできる触覚遊び3選
上記に挙げた「鈍感」「敏感」の症状がある子は、遊びを通して触覚の感じ方を経験させてあげる事が大切です。ここでは家庭でも気軽に出来る触覚遊びを3つご紹介します。
絵の具でペタペタ
触覚が敏感な子に特にオススメの遊び。手が汚れたりすることに苦手意識を持つ子に対して、少しづつ絵の具が身体につく状態を受け入れられるようにします。

基本の遊び方
- 絵の具のなかからいちばん好きな色を選び皿に出します。
(好きな色を選ぶことで、苦手意識軽減の効果が期待できます) - 指先に少しだけ絵の具をつけて紙にスタンプのように押し当てます。
花などの絵をあらかじめ描いておいて色を付けるようにしても◎。
遊びのワンポイントアドバイス
絵の具が指先につくのを嫌がる場合は紙の代わりに濡れぞうきんを使用しましょう。
手についてもすぐに綺麗になる実感は「またつけてもいいかな」という思いに繋がります。
アレンジ1 〜手のひらスタンプ〜
手のひらに絵の具をつけて画用紙などにスタンプします。
触覚が過敏な子にとっては絵の具がふれる面積が広くなることで、より難易度が上がります。
アレンジ2 〜ボディペイント〜
絵の具を使って自分の腕や手に絵の具をつけます。
好きな模様・簡単なキャラクターを描いてもらってもいいですね。
アレンジ3 〜ボディペイントをやってもらおう〜
自分で行っていたボディペイントを他者から行ってもらいます。
自分でやるよりも不安や警戒心が強くなりやや難易度は高くなります。
背中クイズ
背中にかかれた形や文字を頭のなかでイメージして当てるクイズあそびです。見えないところから入ってくる感覚情報を受け止め、頭のなかで整理します。

基本の遊び方
子どもの背中に三角や円などの形をかきます。子どもは、その形を当てます。
難しい場合は、あらかじめ紙などにいくつかの形をかいておき、目で見ながら正解を選べるようにすると◎。
遊びのワンポイントアドバイス
線の始まりと終わり、角の部分などしっかりと止めてかくと形をイメージしやすいです。
最初は手のひら全体をつかってゆっくりと描きましょう。
子どもは薄着の方が刺激が届きやすいです。
アレンジ1 〜げんこつで描いてみよう〜
子どもが形を当てれるようになってきたら、親はげんこつで形を描いてみましょう。
げんこつで描くことで、手のひらよりも接する面積が減り、難易度がやや高くなります。
アレンジ2 〜指で描いてみよう〜
げんこつで描くことにも慣れてきたら更に接する面積を狭く。指で描いてみましょう。
指の本数を3本、2本、1本と少なくしていくと更に難易度は上がります。
アレンジ3 〜文字を描いてみよう〜
形を描くことに慣れてきたら次は文字。はじめは画数の少ない簡単な文字から挑戦するのが◎。
ゆらゆらバランスボール
ボールに触れたり他者に身体を支えてもらう場面が多いので触覚の過敏さを軽減する効果が期待できます。
前庭覚・固有覚などにも働きかける事が出来る遊びです。まず最初はバランスボールにうつ伏せになって行ってみましょう。

基本の遊び方
子どもはバランスボールにうつ伏せに乗り、こどもの背中を大人が押します。
遊びのワンポイントアドバイス
バランスボールに身体を押し付けるように。
子どもがボールの反発力を感じられるように。
怖がる場合、最初は足や膝を床につけた姿勢でもOK。
次第に足を浮かせれる姿勢になれば◎
アレンジ1 〜両手を身体を支えてみよう〜
①子どもはバランスボールにうつ伏せに乗る。
②大人は子どもの背中に手をのせる。
③子どもの頭の方向にゆっくりと動かす。
④子どもは反射的に両手で床に手を出して身体を支える。
アレンジ2 〜座ってユラユラ〜
①子どもはバランスボールに座る。
②大人は子どもの脇や腰を支え前後左右に揺らす。
アレンジ3 〜あお向けでユラユラ〜
①子どもはバランスボールにあお向けで寝転がり両手を頭の後ろにのばす。
②大人はバランスボールを支え、子どもが落ちない程度に左右に揺らす。
まとめ:触覚は「伸びる」し「慣れる」
触覚の困りごとは、
「気になるけどどう関わればいいかわからない…」と感じるパパママが多いです。
でも、今日紹介したような遊びは
- 家ですぐできる
- 特別な道具がいらない
- 子どもが“自然に慣れていける”
というメリットがあります。
「ちょっと苦手かも?」と感じたら、今日の遊びをゆるく試してみてください。
発達はゆっくりでも確実に伸びていきます。

その他感覚の解説はこちら
参考文献
『発達の気になる子の学校・家庭で楽しくできる感覚統合あそび』川上康則(株式会社ナツメ社)






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